身延町立身延中学校
実績一覧建物名称・完成年月 |
身延町立身延中学校 校舎・武道場・体育館 |
2024年3月 |
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住所・発注者 |
山梨県南巨摩郡身延町下山9667 |
身延町 |
建物用途・敷地面積 | 中学校 | 17,149.23㎡ |
構造 |
木造一部鉄筋コンクリート造 2階建て |
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延べ面積 |
6,067.14㎡ |
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設計概要 |
身延中学校は2016年に町内4つの中学校の統合の後、学習環境の改善と通学環境の標準化を目的に町の中央に位置する下山地区に新たに移転新築された。一棟建ての校舎・体育館・武道場と屋外テニスコートを整備し、隣接する下山小学校と身延地区公民館下山分館を合わせて地域の文教拠点となっている。 「地元の木材でここにしかない特別な学び舎をつくる」という強い想いのもと「優しい木の温もりに包まれた学び舎」をコンセプトとしたオール山梨県産材の大規模木造の計画である。 【自らが進んで学べる学び舎】 校舎の中央部に、生徒が集い、語らい、発表ができる場として2層吹抜けの「木の香(このか)ホール」を設けた。大階段下部に木伝搬スピーカーを内蔵し、自然の光・風、木の香り、優しい音色を生徒が五感で体感できる学校のシンボルとなる空間とした。 図書室は普通教室と同一フロアに配置し、個別学習やグループ学習等の様々な学習形態に対応できる平面計画とした。誰もが気軽に立ち寄り本を手に取りやすく調べ学習を促す平湯式モデルの図書家具を採用した。 【安全安心な学び舎(構造計画、防災拠点)】 木造4棟を鉄筋コンクリートの耐火コア3棟で区画した1時間準耐火建築物である。木造軸組材は石膏ボードで被覆したメンブレン型耐火構造を主体とし、一部を燃えしろ設計で木材を表しで使用し、木の温もりや潤いを感じる空間を実現している。大スパンには構造用集成材・LVLを採用して荷重負担の少ない部分は構造用製材を採用した。 敷地東側を流れる富士川の氾濫を想定して建物位置を道路レベルより2m嵩上げし浸水対策を図り、一時避難所となるアリーナと武道場には電源自立型ガスヒートポンプ式空調機を採用して、災害時には空調、照明、コンセント等の電源を確保できる計画とした。 【スムーズな木材加工と木材調達】 校舎建設での木材の安定供給を図るために、設計段階から仕上材や造作材の必要数量を把握して先行発注し、施工時に材料支給とした。木材調達では、山梨県・身延町・教育委員会・(一社)山梨県木材協会の4者での木材利用促進協定を締結し、木材協会にて伐採樹木の運搬、皮むき、背割り、乾燥期間中の管理を担った。 日蓮宗の総本山である身延山久遠寺から提供された樹齢約100年の杉の丸太柱や、天井、軒天、腰壁の仕上材料はすべて町産材を採用し、歩留まりを高めるために等級や色味(白、赤、黒)に関わらず全て無駄なく利用した。 地域の豊かな資源である地元木材で建てられた学び舎は教育現場での木育にも活用するなど、長い年月にわたって育まれてきた身延の木が、未来を担う子供たちの学び舎を支えている。 |
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設計担当 |
建築 髙相 正樹、中込 尊、田中 綾子 構造 渡邉 須美樹、古田誠(元職員)、速水健【(株)木講堂】 電気 深澤 正 【深澤建築設計】 機械 城之内 牧【城之内建築設備企画】 |
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施工 |
建築 早野組・長田組土木・三井建設工業JV 電気 中楯電気・雨宮電気・阿久津電気JV 機械 雨宮工業・身延総合設備・大南設備JV |
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完成写真 |
GlassEye Inc./海老原一己 |